Q&A 家主さんのよくあるお悩み

入居・退去

Q.1借主さんを決める時に気をつけるべきことはありますか。
賃貸借契約は、家主さんと借主さんとの信頼関係で成り立ちます。よって、借主さんを決定する場合は、不動産屋さんに丸投げはせずにご自身でも確認して決定しましょう。

【注意点】
1.本人確認
写真のある公的な身分証明書(パスポート、運転免許証など)で確認して、コピーを契約書に添付してください。他人になりすます手口もありますので注意!
2.賃料の支払い能力
賃料の不払いリスクを下げるためにも、収入証明は確認することをおすすめします。確認方法として、給与明細や源泉徴収票のコピーを受け取るようにしてください。また、入居時には保証会社に加入してもらうことで、不払いリスクの対策をすることもできます。(No.5参照)
Q.2建物賃貸借契約に関して、保証会社を利用した場合、何を保証してくれるのですか。また、保証してくれないことは何ですか。
簡単に説明すると、借主さんが家賃の不払いがあると保証会社が支払ってくれるものです。
なお、保証会社によって保証内容は違ってきますが、家賃、管理費、共益費、駐車場代、残置物の撤去費用、原状回復費用、明け渡し訴訟費用、強制執行費用などを保証してくれます。
また、保証外として、自殺による損害、借主さんの失火による損害、孤独死による損害、退去後のクリーニング費用などがあります。
Q.3家主が借主さんの退去に際して、やるべきことは何ですか。知っておかなければリスクになるようなことは何ですか。
これは、賃貸借契約締結時にも言えることです。
契約締結時には、借主さんとともに室内の状態を確認し、契約書に写真や書面で明らかにしておく必要があります。それによって、借主さんの退去時に、締結時にはなかった「ガラスが割れている」「壁に穴が開いている」「床に焦げ跡がついている」などの証明となり、原状回復費用を負担してもらうこととなります。
もし、契約締結時に借主さんとともに室内の確認をしないと、退去時には「初めから割れていた」などと言われてしまい証明のしようがありません。

退去時にトラブルを回避するためにも、契約締結時にはしっかりと確認しあいましょう!
Q.4借主さんと賃貸借契約を締結し、礼金を受け取りました。その後、部屋の引き渡し前に借主さんの都合で契約を解約したい申し入れがあったのですが、礼金はどうすればよいですか。
通常、礼金とは部屋を貸してもらったお礼として支払うお金であると言われていますが、法的根拠はありません。
ですので、今回の場合ですと借主さんの都合でとのことですから、もし入居にあたって準備をしていたのであれば、それをよく説明して協議する必要があると思います。
また、今後のためにも契約書に「礼金の返還を拒否する」旨の条項を記載しておくことをおすすめします。
Q.5退去期限を過ぎているのに、借主さんの家具や荷物が残されています。退去期限日で明け渡しが完了したことになりますか。
期間満了や合意解約にしろ、期限が過ぎているのであれば、契約は終了しています。
よって、借主さんの残置物(家具や荷物)が残っていて、その残置物のせいで次の借主さんに貸せない状態であると「賃料相当損害金」を請求できることになります。
(請求と言っても、実際には敷金から差し引くことになりますが・・・)
Q.6退去期限を過ぎて残されている家具や荷物は、どうすればいいですか。
困った、借主さんですよね!
でも、この残置物(家具や荷物)を勝手に捨てることはできません!
ですので、契約書締結時には「明け渡し後に残置物がある場合は、借主さんは残置物の所有権を放棄し、家主さんにて処分することができる。また、処分にかかる費用は借主さんの負担とする」旨の条文を必ず入れてくださいね。
また、このような条文がない場合は、退去の立ち合い時に借主さんが残置物の所有権を放棄する旨と、処分の費用負担をする旨の書面を取っておくとよいでしょう。
Q.7原状回復義務により、賃借人負担でやってもらえることと、賃貸人側で負担しなければいけないことを教えてください。
原状回復義務とは、借主さんは借りていた部屋を借りた時の状態にして、家主さんに返さなければならない義務のことを言います。
ですので、借主さんの過失で壊した部分や汚してしまった部分は当然借主さんで負担してもらえるのですが、時とともに、自然に古くなり壊れてしまった部分や、汚れてしまった部分については家主さんの負担となります。
Q.8借主さんが貸室内で自殺した場合、遺族や連帯保証人に損害賠償を請求できますか。その額はどうやって決めるのですか。
ズバリ!請求はできます。
まず、借主さんが死亡したとしても、賃貸借契約は終了せず借家権は相続されることになります。
ですので、契約解除の意思表示を相続人さんに対して行うこととなります。
当然、室内には自殺した借主さんの家具や荷物がありますので、相続人さんに片づけてもらい部屋を明け渡してもらうことになります。そこで明け渡し完了となるのです。

損害賠償ですが、解除から明け渡しまでの「賃料相当損害額」、家賃の滞納があれば「滞納家賃」、自殺にともなう「原状回復費用」、今後、自殺によって一定期間賃貸に出せない損害などを請求できることになります。
Q.9借主さんが貸室内で自殺したことにより、隣室や階下の住人が退去してしまった場合や、賃料の値下げをしなければならなくなった場合は、自殺した借主さんの遺族や連帯保証人に対して、その損害賠償を請求できますか。
これは、難しいかもしれません。
裁判所は、他の部屋で自殺があった場合に他の部屋の新しい借主さんにこの事実を告知する義務は無いとの考えを示しています。
しかし、実際には部屋を斡旋する不動産業者は最近に起こった自殺ならば、後のトラブルを避けるためにも、他の部屋で自殺があったことを告知するでしょうから、この自殺での影響を証明すれば認められるかもしれません。
Q.10借主さんが孤独死しました。長期間発見されることが無く、そのためニオイやシミが取れません。結局、クロスの張替えおよび畳の交換が必要となるのですが、借主さんの遺族や連帯保証人に請求することはできますか。
自殺とは違い、病死や事故死などは借主さんの故意や過失が原因ではないので、この場合の原状回復費用の請求はできません。
(家主さんにとっては納得できないと思いますが・・・)
家主さんのリスク回避としては、高齢者の入居がある場合は、孤独死などに備えてあらかじめ保険に加入することをおすすめします。
Q.11賃貸借契約の終了にともない退去する際に、契約期間中に借主さんが壁紙を張り替えた時の費用や、便器を和式から洋式に入れ替えた費用を請求されました。支払う必要はありますか。
借主さんが雨漏りなどのその建物を使用するにあたって必ず必要な保存行為のために支払った費用は、家主さんの同意がなかったとしても家主さんに対してすぐに請求できます。

しかし、壁紙などの改修工事ついては、その建物を使用するにあたり必要なことではなく、より住み良くするためのことにすぎません。この費用を「有益費」と言い、有益費を請求する権利を「有益費償還請求権」と言います。
このような改修工事をする際、賃貸借契約書には家主さんの同意が必要である旨の条項が記載されていると思われますので、家主さんの同意を得て壁紙を張り替えたのであれば、借主さんは賃貸借契約終了後の退去時に有益費の請求ができます。
なお、その請求額ですが、現存する増加した額(壁紙を張り替えたために価値が上がった額)となります。壁紙を張り替えた直後に契約終了となった場合は、その費用のほとんどを請求することができますが、張り替えから何年も経過した後に契約終了となった場合は、ほとんど価値はなくなっているので、請求できないでしょう。

また、便器などの設備に関してですが、これも家主さんの同意が大前提となります。
家主さんの同意を得て、便器などの設備の交換や取り付けをした場合は契約終了後の退去時にこの「造作」を家主さんに買い取ってもらうことができます。これを「造作買取請求権」と言います。

家主さんはこの「有益費償還請求権」「造作買取請求権」を拒むことはできません!
ですので、この二つの権利を行使させないためには、賃貸借契約書にあらかじめこの権利を認めない特約を入れておくことをおすすめします。(特約に記載しておけばOKです!)
特約の条文については、ここに書くと長くなってしますので割愛しますが、必ず専門家に相談して記載してくださいね!
Q.12借主さんの原状回復義務の対象となる範囲を広げるような特約を設けることはできますか。
その場合、どのように特約を記載すればよいですか。
借主さんの原状回復義務の範囲を広げることは有効です。
例えば、通常であれば月日を重ねて壊れたり、消耗した部分についての補修費用は家主さんの負担となるのですが、これを借主さんの負担とさせる特約を入れるとすると、借地借家法では借主さんが不利になると考えられるので無効になるのでは?と思うかもしれません。
しかし、裁判所では「通常損耗等の補修費用は家賃に含まれているものであるが、家賃に補修費用を含まず、敷引きによって支払われる合意が交わされているのであれば、その合意は有効である」旨の判決があります。

また、特約の書き方ですが
  • ①どの部分に費用が必要かを明確に記載
  • ②費用を明確にしておく
  • ③常識的な範囲とする
とするとよいでしょう。このような契約書を作成する場合は有効な契約書にするために、専門家にお任せすることをおすすめします。

家賃・敷金

Q.1賃料増額訴訟をしようと考えています。どのようなリスクが考えられますか。
あたりまえのことですが、家主さんと借主さんの人間関係が悪くなります。経験上ですがこれを一番に気にされる家主さんが多いと感じます。
(管理会社が入っていれば別ですが・・・)

実務的なことを言いますと、増額訴訟の判断根拠の一つとなる不動産鑑定士に作成させる不動産鑑定意見書の作成費用、訴訟費用、弁護士費用などが負担となるうえ(最終的に判決で鑑定費用を家主さんと借主さんでどれだけ負担するかを決められますが、家主さんが全額負担する場合もあります。)期間的にも調停から始め、調停が成立しない場合に訴訟となるため、精神的にもかなり疲れます。(No.4参照)

また、賃料増額訴訟に対し減額訴訟を起こしてきた場合、減額が認められたら請求のあった時点に遡り差額に利息をつけて返金しなければなりません。
よって、増額訴訟を起こすのであれば敗訴の可能性を十分調べて行うようにしてください。
Q.2賃貸借契約書に、更新のたびに賃料を増額する内容を盛り込みたいのですが、そのような契約は有効でしょうか。
条件次第で有効と考えます。
借地借家法では借主さんの不利な契約条項は無効とされていますが、近隣相場から不相当にならなければ認められるでしょう。
例えば、契約当初は安く賃料を設定して借主さんを募集し、更新のたびに賃料が増額になっても近隣の賃料相場に追いつくだけです。
Q.3契約更新の際に、借主さんから、家賃を減額して欲しいと家賃交渉を受けましたが納得できません。どうすれば拒否できますか。
当然、家主さんは借主さんの賃料減額の申し入れを断ることができます!
借主さんは、家主さんから賃料減額を断られた場合には、調停を裁判所に申し立て、調停でお互いにおり合いがつかない場合には、裁判(訴訟)となるわけです。ちなみにこの順序は変えることはできず、いきなり訴訟からというわけにはいきません。借主さんにとってはかなり手間がかかることだと思われます。
また、借主さんが減額した賃料を支払ってきた場合は、賃料不払いで解除できる可能性があります。
(裁判で賃料減額が認められた場合は、減額の申し入れ日に遡り、差額と利息を返さなくてはなりませんが・・・)

ですので、借主さんから賃料の減額を申し入れられても慌てて対処する必要はなく、借主さんの出方を見てからでも遅くはないと思われますよ!
Q.4契約更新の際に、家主から増額したいと申し出しましたが、借主さんが合意してくれません。どうすればいいですか。
前提として、賃貸借契約書に「賃料の増額をしない」旨の条項が入っていないこととします。
(借地借家法では借主の不利な条項は無効ですが、有利な条項はOKです。)
手続きとしては、増額の意思表示を内容証明でします。
(増額が認められた時はこの意思表示をした時から増額となりますので証明できるようにします。)
借主さんと賃料増額を合意できない場合は、裁判所に申し立てて調停から始め、不成立に終われば訴訟となります。(No.3参照)
その間、借主さんは今まで通りの賃料を供託することになると思われますが、賃料増額が認められたら、増額の意思表示をした日に遡り、差額に利息を付けて請求できますよ!
Q.5家賃が滞納されている場合、部屋へ出向いて督促することはできますか。それでも収めて貰えない場合や、借主さんに会うことができない場合でも、張り紙等は行ってはいけないと聞きましたが、どうすればいいですか。
家賃の滞納をしている借主さんに会いに行くのに遠慮はいりません!
当然、借主さんとの連絡が取れない場合は連帯保証人に連絡しましょう!
(家主さんは悪くはありません。毅然と対処しましょう!)

しかし、「夜中に押しかける」「ドアの前で大声を出す」「ドアなどに張り紙をする」「勤務先に連絡をする」などは違法行為となる可能性があるので注意してください!
Q.6家賃不払いのため、賃貸借契約を解除しましたが、その後も部屋の中の荷物は残されたままです。荷物を運び出し、部屋の鍵も交換したいのですがどうすればよいですか。
家主さんの気持ちはわかります!
賃貸借契約が解除となったにもかかわらず、部屋を不法占拠されている状態です。当然、次の借主さんを募集することもできないわけですから・・・

しかし、家主さん(管理会社や保証会社)が実力行使で借主さんを追い出したり、荷物を運び出したり、部屋の鍵を交換すると、違法行為となり犯罪となる場合もあるので注意してください!
(納得いかないですが我慢です!)
こういった場合は、必ず専門家に相談してください。こんなことで家主さんが責められることになることは絶対に避けてください!!
Q.7明け渡しを命ずる判決が出た場合においても、借主さんが明け渡しに応じない場合、強制執行できるそうですが、実際には何をどうすればいいのですか。
ここまで行くと、通常ならば弁護士さんに依頼されているケースが多いのではないかと思いますので、依頼されているものと考えてお答えします。

明け渡しの判決が出て、借主さんが応じないとなれば、強制執行です。まず、裁判所に強制執行の申し立てを行います。その後、執行官との打ち合わせを行い、家主さんと弁護士さんの立ち会いの下、執行官が強制執行します。

執行は2回に分けて行い、
1回目:執行官が現地に行き、部屋の中の状況を確認します。(もし、部屋の中に入れない場合は鍵屋さんに開錠させて入ります。)その時に、強制執行中である旨を記した書面を部屋内に張り、借主さんに強制執行日を伝えることになります。場合によっては家財道具などを差し押さえたりもします。
2回目:借主さんを排除し、家財道具を運び出します。

更新・解除・解約

Q.1契約解除や更新拒絶などの際に必要とされている正当事由とは何ですか。どのような場合に正当事由となりますか。
賃貸人が賃借人に対して、契約の更新を拒絶したり、解約の申し入れを行う際に必要となる理由です。
当該理由が正当事由となるか否かは裁判での判断に委ねられます。
Q.2立ち退き料に相場はありますか。どのようにして決まりますか。
よく聞かれる質問です!
はっきり申し上げて、立ち退き料の相場は無いです!なぜかというと、その物件(部屋の広さや築年数、住居なのか店舗なのかなど)、借主さんの状況(年齢、生活状況)、地域性(物価の違い)などによってケースバイケースだからです。

ただ、私の経験で言うと一般的なアパートの1室で100万円前後、借家であれば200万円~400万円というような感覚はありますね。特に借家の立ち退き料に関してわかりやすくいえば、連棟長屋の比較的小さな借家もあれば庭付1戸建ての大きな借家もありますので当然家賃にも相当な違いがあり、立ち退き料も変わってきます。
借主さんも簡単に移転先を決めることができる若い方もおられれば、移転先をなかなか決めることができない高齢者の方もおられます。特に高齢者の方だと引越をすること自体がかなりの負担となる場合もありますので、費用も高くなる場合があります。また、移転先の物件を探すにも高齢者を敬遠する家主さんが多いので移転先を見つけるのに苦戦する場合も多いのです。
このように、立ち退き料は借主さんによってかなり違いが出てくると考えます。

家主さんの中には、「借主さんとは長い付き合いだから話をしたら分かってくれるだろう」と安易に考え、借主さんとトラブルになるケースが大変多くみられます。長年の付き合いだからと言っても、お金の話になれば話は別です。家主さんは少しでも少額で済ませたいものですし、借主さんは少しでも多く受け取りたいものです。お互いの利益が反していますので、一度話がこじれてしまうと取り返しがつかない状態になることが多くみられます。こんな時こそ専門家の経験や知恵を利用することを強くおすすめします。
Q.3合意更新の際の更新料に相場はありますか?どのようにして決めるべきですか。
はっきりとは、決まっていないのですが・・・
裁判所では、更新時の更新料についての条項は有効であると認めています。しかし、「なんでもあり」ではなく、簡単に言えば「常識的な範囲で・・・」と言っています。

仮に、契約期間も短い上に更新料も高額であれば無効になる可能性があるということです。ですので契約期間が2年としたら、更新料は賃料の2ヶ月分といったところが常識的な範囲ではないでしょうか。
Q.4法定更新の場合、更新料の請求ができなくなると聞いたので、合意更新の契約にしたいのですが、どうすればいいですか。
そもそも、更新料の支払いは法的根拠がありません。ですので、借主さんは更新料の支払いを拒否することもできます。しかし、賃貸借契約書に更新時には更新料を支払う旨の合意がなされていると更新料を請求することができます。

それを踏まえ、今回のケースは契約条項の中に更新料の合意があるものとしてお答えします。
更新料は家主さんと借主さんとの間で、賃貸借契約の更新合意があった時に発生するものです。ですが法定更新(No.8参照)は条件が揃うと自動的に更新されることになりますので、両者の更新についての合意は無く、更新料が発生しません。

そこで、法定更新をさせない方法ですが、賃貸借契約書の期間に関する条項に「期間満了の6ヶ月前までに、当事者のいずれからも書面による更新拒絶の異議申し出ががない場合は、本契約は更新されたものとする。この場合、更新後の契約条件および契約期間は本契約条件と同じとし、以後の期間満了の場合も同様とする」を記載すれば法定更新とならず、合意更新となりますので更新料を請求することができます。
Q.5家主から賃貸借契約期間中に中途解約することはできますか。
ん~!難しいですね!!

そもそも、中途解約とは家主さんか借主さんのどちらかの都合で、契約途中に解約したいということです。
借主さんからの中途解約は、一般的に家賃2ヶ月程度の違約金を支払えば解約できるケースが多いですが、家主さんからの中途解約は認められません。(借地借家法の借主さん保護はすごいですね・・・)

仮に契約条項の中に、家主さんからの中途解約が可能な条項が記載されていたとしても、借地借家法では借主さんに不利な条項は認められないので無効になる可能性が高いでしょう。
Q.6借主さんから賃貸借契約期間中に中途解約することはできますか。
家主さんからの中途解約(No.5参照)とは違い、賃貸借契約書の中に借主さんからの中途解約が可能な条項が記載されていれば、問題なく解約できます。

また、この借主さんからの中途解約に関する条項が無い場合でも、一般的に特別な事情がない場合は家賃2ヶ月程度の違約金を支払えば解約できるケースが多いです。
Q.7どのような場合に、家主が賃貸借契約期間中に契約解除できますか。
簡単に言えば、借主さんが約束を守らなかったら契約解除できます。(契約違反です!)

具体的には、借主さんの「家賃や共益費の滞納」「無断転貸」「使用目的の違反」などの契約違反または法律上の義務違反です。

しかし、借主さんの契約違反や法律上の義務違反があったとしても、すぐに契約解除ができるとは限りません。仮に、借主さんが家賃を1ヶ月滞納しているとします。しかし、それで家主さんとの信頼関係が破壊されているとは認められず解除はできないでしょう。契約解除をするには家主さんと借主さんとの信頼関係が破壊された時に解除が認められます。
Q.8普通借家契約の契約期間満了時に契約を終了させる方法はありますか。
まず、お互いが何も言わず期間満了を迎えた場合は、法定更新します。
これを踏まえ、契約を終了する場合です。
  • ①借主さんが期間満了で更新せずに退去する場合は、そのまま契約終了。
  • ②家主さんが期間満了にともない、更新拒絶をする場合は、期間満了の1年前から6ヶ月前までに更新拒絶の通知を行い、「正当事由」が必要になります。
また、家主さんが更新拒絶した場合でも、借主さんが建物を使い続けた場合は遅滞なく異議を述べないと「居すわり更新」となり、更新することになります。
借主さんが更新しなければそのまま契約終了ですが、家主さんから更新拒絶するのは相当ハードルが高いと言えるでしょう。
Q.9普通借家契約で法定更新した場合、契約期間はどうなりますか。また契約を終了させるために必要な手続きは何ですか。
まず契約期間ですが、法定更新をすると契約内容は変わりませんが、契約期間が定めのない契約になります。
また、その「期間の定めのない契約」は家主さんからいつでも解約の申し入れができるようになりますが、ここでも「正当事由」が必要となります。
Q.10借主さんが無断で同居をはじめたようです。賃貸借契約書に、一人暮らしに限ると記載しているため、契約を解除したいのですが、解除できない場合があると聞きました。どのような場合に解除できるのでしょうか。
契約書に「1人暮らしに限る」と記載しているのであれば、契約違反となります。しかし、それで契約解除ができるとは限りません。
契約解除をするには、借主さんが家主さんとの信頼関係を破壊したと認められる必要があります。
「1人暮らしに限る」と記載してとしても、2人で住んでも支障がない場合などは、家主さんとの信頼関係を破壊したとは言えないでしょう。

なお、同居人の身元の確認はしておく必要がありますので、借主さんにしっかり聞いてください。借主さんには家主さんに対して同居人の申告をする義務がありますので、もしも申告を断るようであれば家主さんとの信頼関係を破壊したと認められる場合もありますので契約解除ができる可能性もあります。
Q.11借主さんによる契約上の義務違反がありました。契約解除するために、どのような手続きが必要になりますか。
次のような順番で行います。
  1. ①一定の期間を定めて催告
  2. ②その期間の経過を待つ
  3. ③契約解除の意思表示を行う
具体例で言いますと、借主さんが家賃を滞納しているとします。
まずは、家賃を支払うように内容証明郵便で催告するのですが、ここで支払い猶予として2週間程度を設定し、この期間内に支払いが無ければ契約解除をする意思表示を記載しておきます。そうすることによって、改めて契約解除の意思表示(上記③)をする必要がなくなります。
Q.121回でも家賃の滞納が発生した場合は、契約解除できるようにしたいのですが可能ですか。
家主さんのお気持ちはわかります。家賃を滞納する人に貸したくないですよね!
でも、家賃の滞納が1ヶ月ですと、家主さんと借主さんの信頼関係が破壊されたとは認められず、契約解除は難しいでしょう。滞納が3ヶ月以上であれば認められると考えます。

しかし、家賃の滞納が1ヶ月でも、その他に家主さんとの信頼関係を破壊するような契約違反等があれば契約解除を認められるでしょう!
Q.13借主さんが賃貸契約中の物件を長期間使用していないことがわかりました。契約解除できますか。
借主さんが長期不在で家賃を支払わないようなことがあれば別ですが、家賃をしっかり支払っているのであれば、契約解除は難しいですね。

しかし、一般的に賃貸借契約書には1ヶ月以上の不在時には家主さんに知らせる旨の条項があると思います。その条項があるにもかかわらず、家主さんに知らせないようなことがある場合は、契約解除の理由になる可能性があります。
Q.14借主さんが破産したことを理由に、家主から賃貸借契約の解除を申し入れることはできますか。
一昔前の賃貸借契約書には借主さんが破産した場合には契約を解除できる旨の条項が記載されているものもあり、その条項も有効でした。しかし、現在では民法も変更され借主さんが破産したとしても、それだけでは契約解除は認められません。
しかし、家賃の滞納などの契約義務違反があれば別ですが・・・

修繕・立ち入り

Q.1電球の交換や襖の張替え、網戸の補修などは家主がしなければいけませんか?
また、これらの修繕を借主さんで負担してもらうことはできますか?
家主さんは貸家または部屋を貸すにあたり、きちんとした状態で貸す義務があり、借主さんがきちんと使えない状態になった場合は、家主さんが修繕しなければなりません。
(借主さんが故意または過失で使えなくなった場合は別ですが・・・)
ですが、この修繕の中でも少額の物に限りますが借主さんの負担とすることもできます。
例えば、「電球の取り換え」「襖、障子の張替え」「畳替え」「網戸の補修」などがあります。

具体的な方法ですが、契約書の特約で借主さんが負担する部分を一覧にして記載し、契約前にはしっかりと借主さんに説明して理解してもらう必要がありますので、詳しくは専門家に相談することをおすすめします。
Q.2親から引き継いだ築古の貸家なのですが、先日の地震で玄関ドアや建具が閉まらなくなりました。借主さんから修繕を頼まれて工務店に見積もりを依頼したのですが、工務店から「建て替えと同じくらいの費用がかかる」と言われました。それでも修繕をしなければいけませんか?
このような理由で、借主さんがまともに借家を使えないような状態になった場合は、家主さんが直さなければなりません。
しかし、物理的に直せるものでもあまりにも費用がかかる場合は別です。

今回の場合、築年数もかなり経っており修繕するには立て直し費用くらいのお金がかかるとのことですので修繕義務はないでしょう!
また、場合によっては契約の更新を拒否することや契約を解除することも認められる可能性があります。
Q.3アパートの2階から漏水しています。しかし、その部屋の住人は旅行に出ており「2日後に戻るので待ってほしい」と言われました。どうすればよいですか?
いやいや、そんなの待ってられないですよね!!
早く漏水を止めないと1階の住人の部屋が水浸しで建物まで傷んでしまいます。

このような場合、当然に立ち入ることができます。借主さんが嫌がろうと建物の修繕(保存行為)に部屋内への立ち入りが必要な場合は、借主さんは立ち入りを拒めません!
ですので、家主さんはしっかり借主さんへ説明をし、それでも借主さんが立ち入りを拒むようであれば契約の解除を通告することが可能です。
Q.4借主さんの同意なしに賃貸契約中の建物や貸室に立ち入ることができる場合とは、どのような場合ですか。
基本的には、契約中の建物内(部屋内)への立ち入りは借主さんの同意なしにはできません。

ですが、緊急時にはそんなの待ってられないですよね!そこで漏水やガス漏れなどの場合には借主さんの同意はいりません。(No.3参照)
また、借主さんの安否確認をしなければならない場合も同じです。
Q.5借主さんが夜逃げしました、借主さんの同意なく部屋に入り、片づけることはできますか。
本当に迷惑な話ですよね!!
すぐに、部屋の中を片づけて入居の募集を行いたいところですが・・・ちょっと待ってください!

理不尽な話ですが、家主さんが勝手に片づけると損害賠償請求をされる可能性があります。(家賃・敷金No.6参照)夜逃げされたうえに、家主さんが訴えられる必要はありませんので、正攻法で対処しましょう!

まず、裁判所に明け渡し訴訟を行います。しかし、相手は夜逃げしていますので訴状を受け取ることもなく、裁判に出てくることもないので、手続きが淡々と進みます。
(いろいろと面倒ですが・・・)
判決が下されると、強制執行の手続きが可能になりますので、これも淡々と進めます。そうすれば晴れて部屋の中は片づくのですが、期間と費用が必要となり、家賃ももらえずに大損ではありますね。次の借主さんを募集して一日でも早く家賃収入が入ることを優先されるとよいと思います。

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