今回は築50年入居者さんのいる築古アパートを買い取りさせていただいた一例を紹介します。

□アパートに1人でも入居者が残っていると解体できない！？

＊ご相談者様の状況

ご相談者様：40代後半会社員男性
家族構成：
奥様は専業主婦で今年中学生になる息子さんと娘さんの4人暮らし
ご相談内容：
ご両親から相続された築古アパートの売却相談です。

数年前、ご相談者様のご両親が亡くなられ、不動産投資目的で購入したアパートを長男であるご相談者様が相続されました。
最初のうちは家賃収入もあり順調に収入を得ていたのですが、築50年の築古アパートは現代では人気のない間取りや設備の少なさから、新たに入居者さんが入ることはありませんでした。
現在は8部屋あるうちの2部屋しか埋まっておらず、家賃収入も期待できない状況です。

さらに、息子さんと娘さんが今年から中学校に通うということもあり、ご相談者様の年収ではアパートを管理、修繕して運用していくよりも、手放した方が良いのではないかと考えてご自身でお調べになっていたそうです。
インターネットを中心に調べたところ、まずは近くの不動産仲介業者に相談をしにいくことに決められました。
そこではご相談者様の今まで知らなかった築古収益物件を売却する難しさを知ることになるのです。

アパートの持ち主が解体を希望しても、入居者さんが退去を拒否した場合、日本の法律では賃貸借契約の賃借人の方が立場を優先され、ご相談者様の意向だけでは立ち退いてもらうことはできません。
当然のことながら、入居者さんとしては突然「明日から解体するので立ち退いてください」と言われても、「はい。わかりました。」とはなりませんよね？

ですので、大家さんの都合でアパートから立ち退いてもらう時には、一般的には「立ち退き交渉」を行います。
立ち退き交渉の際に、入居者さんに立ち退き料を支払うこともあります。

＊立ち退き料は法律的な金額の規定はない

立ち退き料の相場は家賃6ヶ月分程度と書かれていることがあります。
しかし、この6ヶ月というものに法的根拠はなく、入居者さんから「6ヶ月分では少ない」と言われてしまった場合、より高額な立ち退き料を支払わなければならないケースもございます。
そのため、入居者さんがいる築古アパートとなると不動産業者も買い取りを取り扱ってくれないと言うパターンもございます。

□すぐにでも手放したいが買い手が見つからない

数社の不動産仲介業者は長い間売れずに残ってしまうかもしれないけれど、掲載する事は出来るとのことでしたが、そもそも築古アパートが売れない理由としては、

買い手の銀行融資が困難である
耐用年数の残存期間が少なく不動産評価も低く見られ、近年では旧耐震の建物は最初から銀行側からの貸付事態を断られてしまう事もあります。
そのため、購入希望者が申し込みをしても買い手が融資の審査に落ちてしまい、購入まで至らないという事が起こりえます。
新築や築浅のアパートにくらべ現代の間取りにマッチしていない
買い手が新たに入居者さんを獲得するためには、リフォームや修繕工事などをしなければならのでコストが多くかかるために収支が合わないことが多いのです。

しかし、その間にも固定資産税や管理費用、修繕費用などのお金は発生します。
固定資産税は所有している土地や建物の価値によって支払う税金なので、不動産投資が赤字であっても支払う義務があります。