今回は相続してもらうはずの築52年の古いハイツを、娘さんの意向で売却した相談事例をご紹介します。

□資産より今を大切にしてほしい

＊ご相談者様の状況

ご相談者様：80代男性
ご家族：お子様は独立し、今は奥様と老後の人生を楽しんでおられます。
ご相談内容：
今回は娘さんの意向を尊重して、築52年のハイツを売却したご相談事例です。

このハイツはご相談者様が資金に余裕があった時期に、仕事上の付き合いで購入したものでした。
すでにローンの返済も終わっており、築52年にもなる古い建物でしたが、家賃収入は安定して入っているプラスの資産ですので、ご相談者様としては娘さんに相続させてあげようと考えていたそうです。

あるとき、このハイツの相続について娘さんに話をしてみると、意外な返事が返ってきたそうです。

「このハイツを売ってほしい」と。

プラスの資産であるはずなので、何が問題なのかと疑問に感じたそうです。
しかし、娘さんにはある意向がありました。

それは売却したお金で、両親が今の時間を楽しむことです。
海外旅行を楽しんだり、娘さんを含めて家族で出かけたり、やりたいことを始めたりといった「今」を楽しむ活動に使ってほしいとお願いされたそうです。

予想もしていなかった返答に戸惑ったそうですが、娘さんとしてはお金に困っていることはなく、相続して収益を得続けるよりも、両親に使ってもらった方が嬉しいとのことだったそうです。
ご相談者様はそう言ってくれるなら、確かに今資金に変えて娘と旅行に行ったり、奥様と海外旅行をするのもいいかもしれないと考え、売却することを考えられたそうです。

ただ、築52年のハイツは、近くの不動産屋に売却査定を依頼したところ、全く話にならない査定額を提示されたそうです。
それを娘さんに伝えたところ、娘さんが築古物件の専門業者である当社をネットで見つけ、ご相談者様に伝えられたことがきっかけでご相談に来られたとのことです。

□「資産」か「資金」か

不動産といった「資産」は長期的に利益をもたらすものではありますが、「資金」ではないため、すぐに使うことができないという側面もあります。
ご相談者様のケースは、今使うことはできない「資産」を、今使うことができる「資金」に変えることだと言えるでしょう。

今回のケースでは、このハイツは住宅ローンの返済が終わっているため、持ち主には純粋に家賃収入が入ってきます。
今後、持ち続けることで売却する以上の利益が得られる可能性がないとは言えません。
しかし娘さんは将来の利益の可能性よりも、今ご相談者様が使える資金に変えることに強い価値を感じているのです。
このような場合は、資産が生む10年先の利益よりも、今売却することで得られる資金の方がより大切になってきます。
このように単純に金額で比較するのではなく、「いつ使えるお金なのか」ということも不動産売却の重要な基準になることがあります。

さらに、今回のケースでは物件の築年数がかなり古いことも考慮に入れる必要があります。
娘さんはこのようなことを考慮していたわけではないと思いますが、築52年になると長期的にはリスクが高いことも事実です。
例えば、大きな地震が発生して壁が割れたり、一部が倒壊してしまったりして修繕費用がかかるリスクは比較的大きいです。

また、築古物件はやはり物件を探している人からは避けられがちなので、徐々に入居者が入らなくなる可能性も少なからずあります。
築60年、築65年となっていくと、さらにリスクは高まっていきます。
そう考えると、築52年の利益が出ているタイミングで売却するというのは、リスクヘッジの観点からも悪くない判断だと言えそうです。

ただしご相談者様が経験されたように、築古不動産は売ろうと思っても一般的な不動産業者では査定額がかなり安く提示されることが多くあります。
その理由は、そもそも一般的な不動産屋では築52年もの収益不動産は流通が困難であります。
築古不動産の売却は、築古不動産を扱った事例がたくさんある業者の方が圧倒的にスムーズです。
そのため、基本的に築52年を超えるような築古物件は、当社のような築古物件の専門業者に相談するのがよいでしょう。

今回ご相談いただいたハイツも、当社では築52年の物件は日常的に取り扱っていますので、ご相談いただいてすぐに査定に取り掛かり、買い取りを進めることができました。
ご相談いただいてから、2週間もかかりません。

ご相談者様も売却がスムーズに進んで資金化できたことで、これから何をしようかワクワクされていました。
資産を資金に変えたことで、今できる選択肢が増えるということも不動産には大切な視点です。