今回は、家賃の滞納トラブルを抱えているアパートを所有している大家さんの売却事例をご紹介します。
□ご相談者様の状況
ご相談者様:50代会社員 男性(単身赴任中)
ご家族:
奥様は専業主婦で、お子様は大学を卒業され、独立されています。
ご相談内容:
ご相談者様のご両親から相続された築50年のアパートの入居者で、家賃を滞納されている方がおられます。
何度も請求を繰り返しておられたのですが、「あと10日待ってほしい。」「◯日には必ず滞納分を払います。」とずるずる支払日が延びているそうです。
ご相談者様は単身赴任をされており、空室も目立っていて家賃収入も少なく、管理も面倒になってきたためこの際手放したいとお考えです。
□家賃滞納が続くと、夜逃げされる可能性も無いとは言えません。
*極端な話ですが、長期間家賃を滞納されていると夜逃げ準備をしている可能性も考えられます。
何カ月か家賃を支払わずに貯め込んで、それを夜逃げ資金にするという事です。
「そんな人がいるの?」と思われるかもしれませんが、実際に弊社にご相談いただいたお客様の中にも、夜逃げをされた経験がある大家さんも多く、部屋に行ってみるともぬけの殻だったり、荷物は全部残したまま出て行かれていたり…と、決して珍しい事ではないのです。
その他にも家賃滞納の傾向は以下のパターンがありますが、最短最速で回収することが大切です。
- 基本的に毎月期日通りに支払われるが、たまたま期日での支払いを忘れてしまい、その後は期日通りに支払われるパターン
- 何ヶ月かに一度支払い忘れがあったり、事前連絡があって期日を超えて支払われるパターン
- 毎月必ず支払い期日を過ぎて支払われるパターン
- 事前連絡もなく、期日内に支払われない上になかなか連絡が取れないパターン
※4のパターンは、とても危険な兆候だと考えられます。
入居者さんから回収できない場合は、連帯保証人、保証会社(家賃保証会社と契約している場合)から回収していけば問題ありませんが、保証会社と契約していなかったり、連帯保証人と連絡がつかない場合は、法的な手続きが必要です。
通常、賃貸借契約書には、家賃の支払い義務や債務不履行時の契約解除などが記載されているため、裁判になれば基本的に家主さんが勝ちますが、裁判を起こす手間もかかりますし、勝ったとしても未払い分の家賃が回収できるかどうかは別問題です。
弁護士に相談すると費用がかかるので、まずは弊社のような築古賃貸不動産の専門業者にご相談いただくことをお勧めいたします。
□民法改正で今後の入居者にも影響が!?
今回のように家賃が滞納されると、入居者さんから回収できなければ連帯保証人から回収していきます。
この連帯保証人について、2020年4月1日から変更点があります。
改正民法が施行される2020年4月1日以降に個人が根保証(ねほしょう)を行う場合、極度額(きょくどがく)を定めなければ保証契約が無効になってしまいます。
そもそも根保証とは、一定の取引関係から生じる現在および未来の債務を保証することを指します。
例えば、部屋を借りる時の連帯保証人といえば、払えなかった家賃程度の金額の保証だろうと多くの方が思っていたのではないでしょうか。
実際は、部屋を汚したり設備を壊してしまった場合の原状回復費用など、家賃以外にも意図的に壊してしまった設備の修繕費など、上限の金額がなく保証するというのが根保証の内容です。極端に言えば、いくら原状回復費用等が掛かっても保証するということになります。
2020年4月1日以降の賃貸借契約書に明記しないといけない「極度額」とは、「上限の金額」の事です。そのため、下記の悪循環になる可能性が高まります。
- 極度額を高くする。→連帯保証人が決まりにくくなり、入居者が決まりにくくなる。
- 極度額を高くしなくても良いように入居審査を厳しくする。→入居者が決まりにくくなる。
極度額をいくらにすればよいのかというのも悩みどころですが、築50年のご相談者様のアパートだと、入居者さんを集めることが難しくなってしまうかもしれません。
□立退き交渉が売却価格に影響する
今回のご相談者様はアパートを手放そうと考えた当初、近隣の不動産業者に売却相談に行かれました。
アパートには入居さんが数人おられたため、「建物が古くて入居者さんが数人残っているので、このままだと買い手が見つかりにくいかもしれません。入居者に退去してもらってから売却しましょう!」と提案されたそうです。
しかし立ち退き交渉がうまく進められず、話し合いが暗礁に乗り上げておられました。
そのため、立ち退きが済んでいれば「〇〇〇〇万円で売れる」との話だったところ、入居者が残っているため「〇〇〇万円くらいで売れるかどうか」に変わってしまったそうです。
その後に当社にご相談いただきました。
立ち退き交渉に慣れていない不動産業者さんや家主さんご自身で立ち退き交渉を行うのは、とてもリスクが多くお勧めできません。
立ち退き交渉が上手くいけば、入居者が居る現状よりも高く売れる可能性もありますが、交渉に失敗すると査定金額に大きく響くことになります。
立ち退き交渉が失敗していると、トラブルを抱える不動産なので買い主が見つけにくくなるのです。
今回当社で買い取らせていただいた価格は、最初に相談された不動産業者さんのおっしゃっていた〇〇〇万円の3割増ほどの金額でした。
立ち退き交渉をご自身で行う前だと、さらに高く買取可能だったことを考えると残念でなりません。
築50年の築古不動産の場合、今回のように小さなトラブルから大きなトラブルまで何かしら問題を抱えている場合も多いと思われます。
古い物件を売却される時は、主に新築や築浅不動産を取り扱う一般的な不動産業者ではなく、当社のような築古不動産の専門業者にご相談ください。
当社であれば、トラブルを抱えたままでも買取させていただくことが可能です。
お持ちの不動産でお困りの方は日成開発までお気軽にご相談ください。