今回は、ご自身で土地活用の出来ないマンション付き貸地の売却事例をご紹介します。

□収益の少なさにビックリ…

＊ご相談者様の状況

ご相談者様：60代男性
ご家族：奥様と社会人の娘さんとの3人暮らしをしていらっしゃいます。
ご相談内容：
今回は「借地法に守られたマンションが建っている貸地」についてのご相談です。

ご相談者様が購入されたのは、ご自宅から車で20分程度の距離にある、270坪の土地です。
もともとは家賃収入が見込める不動産を探しておられましたが、購入地にはシングル向けのマンションが建っており、ご相談者様は「貸地」としての土地購入を選択されました。

ご相談者様はご親族の方に、貸地を所有している方がおられ、収益が上がっているのを見ていたため、貸地でも生活の足しになるだろうと思っていらっしゃいました。
また、もし収益が出なかったとしても、借地契約を見直せばいいと考えておられました。

しかし、その考えは甘かったとすぐに思い知らされることになります。
ご相談者様の貸地からは、ほとんど利益が出ないことが判明したからです。

ご相談者様は約30年前のご契約当時、かなり低い地代の契約を結んでしまいました。
そのため、固定資産税や都市計画税を支払うと、収益がほとんど出ない状態でした。

「これではいけない」と思ったご相談者様は、借地人さんと数年にわたり、借地契約の見直しを図ろうとコンタクトを取り続けました。
地代の増額、または貸地の返還を要求するためです。
しかし、借地人さんからすれば不利益な相談に応じる義務はありません。
まともに相手をされず、ご相談者様は何度連絡を取っても、あしらわれるばかりでした。

ご相談者様としても、契約内容や地代に強く不満を持ってはおられましたが、借地人さんとの関係を悪化させたくない気持ちもあったそうです。
そのため、なんとか合法的に契約を更新する方法はないかと、ご自身で調べ始めたそうです。

しかし、ご相談者様は調べ始めてすぐに、大きな問題に直面します。
その問題とは、「旧借地法」と「借地権」の適用についてです。

□「旧借地法」と「借地権」とは？

平成4年より前から存在する貸地に対して適用されるのが、「旧借地法」です。
旧借地法とは、借地人を保護する観点で制定された法律であり、平たく言えば「借地人の権利がより強固に守られた」法律です。
そのため、正当な理由がない限り、地代を大幅に値上げすることができません。

また、貸地上に建っている建物には「借地権」が存在します。
この借地権は相続できるため、借地人さんが相続する限り、貸地は返還されません。
そのため、「一度貸した土地は永久に戻ってこない！」などと言われています。

現在では、平成4年に施行された「借地借家法」において、定められた期間が満了したら土地を所有者に返還してもらうことが可能な、定期借地契約が新たに加えられています。

ただ、ご相談者様のような築古不動産に対しては、旧借地法が適用されてしまいます。
実際にご相談者様以外にも、該当の貸地の所有者からは、多く相談が寄せられています。

それではご相談者様のように、土地の返還・地代の値上げ不可な貸地の所有者は、どうすればいいのでしょうか？
一つには、借地人さんへ売却するという方法があります。

貸地の売却を検討されていたご相談者様も、当初は借地人さんへ相談しようと思っていらっしゃいました。
しかし、すでに関係がこじれてしまっていたため、借地人さんと連絡が困難な状況でした。
さらに、ご相談者様を思い留まらせたのは、インターネットの次のような情報です。
それは、借地人さんへ売却する場合、交渉が「難航」または「決裂」するケースが多く、売却までに時間がかかってしまう可能性が高いという内容です。

実際、借地人さんへの売却で悩んでいる方が多く、ご相談者様が見つけた当社のブログ記事でも、売却交渉が決裂してしまった貸地の売却事例が載っていたそうです。

ご相談者様は、その時初めて当社のような築古不動産専門業者の存在を知ったそうです。

貸地の売却をする二つ目の方法は、専門業者へ買い取ってもらうことです。