今回は貸している土地を返してもらえずに、自由に有効活用できない貸地(底地)を売却した相談事例をご紹介します。

□一度貸したらもう取り戻せない貸地(底地)

＊ご相談者様の状況

ご相談者様：50代男性
ご家族：奥様と2人暮らしをしておられます。
ご相談内容：
今回は「貸地」についてのご相談です。

この貸地はご相談者様が相続したもので、戦前から引き継がれているとのことです。
この土地には昔から一軒家が5件建っており、リフォームなどを繰り返しながら代々建物の所有者が住んでいる状態でした。

ご相談者様は地代を得ていたものの、地代が安くて土地にかかる固定資産税や都市計画税を支払うと、ほとんど利益はなかったそうです。
その時たまたま知人から不動産投資をしている話を聞き、せっかく土地を持っているならアパートを建てて、有効活用できないかを考え始めたそうです。

しかし、貸地には建物が建っているため、自分たちの土地とは言ってもそのまま使うことはできない状態です。
ご相談者様が「何かいい方法はないのか」と調べたときに、貸地も扱っている弊社のホームページを見つけ、ご相談に来られました。

□「旧借地法」で守られた貸地は簡単には取り戻せない

正直なところ、今回ご相談された貸地を有効活用するのは、かなり難しいと言わざるを得ません。
その理由は、この貸地が「旧借地法」によって保護されてしまっているためです。
旧借地法は、借地人（土地を借りる人）を保護する観点で制定された法律です。
簡単に言うと「土地を借りる人の権利を守る法律」であるため、借りる人の立場がとても強くなっています。
正当な理由がない限りは返還してもらうことはできず、地代についても大幅に値上げすることがほとんどできません。
又、貸地上に建っている建物には借地権が存在します。この借地権は相続できるので借地人が相続する限り貸地は返還されません。
「土地は貸したら永久に戻ってこない！」と言われる理由がお判りでしょう。

ただあまりにも地主さんに不利であることから、平成4年8月に施行された「借地借家法」によって、現在では定められた期間が満了したら土地を所有者に返還してもらうことが可能な定期借地契約が新たに加えられました。
しかし、平成4年8月より前に契約された貸地には、旧借地法が適用されてしまいます。
ご相談者様の土地は戦前に貸した土地であるため、借地借家法ではなく旧借地法が適用されていたのです。
実際、相続した貸地の多くが旧借地法を適用されていますので同じようなご相談が後を絶ちません。

有効活用は難しく、地代による利益もままならないのであれば、地主さんはどうすればいいのでしょうか。
正直、できることは限られています。
不動産業者の中でも弊社のような貸地も扱う専門業者にご相談いただくことです。

上記の通り、貸地は相続できるためになかなか返してもらえない上に、安い地代を大幅に上げることもできない利用価値の少ない土地です。
金融機関も貸地を担保にお金を貸してくれることはほとんどありませんし、買い手がつく可能性はかなり低いと言わざるを得ません。

そのような状況でも買い取りができるのは、貸地の取り扱いを得意としている専門業者に限られます。
専門業者であれば貸地に関するノウハウが蓄積されており、長期的な視点で事業化をすることができるため、一個人が貸地を保有するよりも、はるかに利益化まで「待つ」体力も技術も大きいのです。
自分たちで活用できない貸地を持っていて、どうすればいいのかわからないという場合には、弊社のような専門業者に相談することを強くおすすめします。

ご相談者様にも旧借地法が適用されていて、土地の返還や地代の大幅な値上げが難しいこと、そのような土地は買い手がつきにくいことをご説明し、弊社で買い取りができるかどうか調査することをご提案しました。
他に選択肢も考えられないとのことで快諾していただき、ご相談者様の貸地についての借地契約などをすべて調べることになりました。
かなり厳しい条件の貸地ではありましたが、長期的に弊社で事業化できる可能性があったため、買い取らせていただく旨をお伝えしました。

ご相談者様としても、ご自身で自由に使えない土地ならば売却して換金したいという考えから、すぐに買い取りを進めることになりました。
調査も済んでいたため、手続きもスムーズに進み、2週間もかからないうちに買い取りを済ませることができました。
ご相談者様は